DX戦略

AOITのミッション・ビジョンとDXへの取り組み

青森県のスマートフォン利用率やインターネット利用率は、全国で最下位レベルにあります。
※総務省「情報通信白書」令和3年度版

ITは現代の生活インフラとなっているため、人々のITリテラシーを向上させなければ地域の豊かさは実現できません。
NPO法人あおもりIT活用サポートセンター(AOIT)は、青森県民のデジタルリテラシーの向上のために活動しています。

当法人は、2024年8月に組織のミッション・ビジョン・バリューを刷新し、今般、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進への決意を新たにしました。

ミッション(使命)は「デジタルで豊かな青森をつくる」、ビジョン(将来像)は「デジタル人材が集い、育ち、活躍する青森」としています。さらに、このミッション・ビジョンを実現するため、バリュー(価値観)として 「好奇心が出発点」「思考し続ける集団」「繋がりを大切にする」 の3点を掲げています。
これらの経営理念を土台に、当法人は青森県のデジタル社会実現に向けたDX戦略を推進しています。

AOITが考えるDXとは

AOITは、DXを単なるIT導入ではなく、経営と組織の根本的な変革と捉えています。

一方で、県内事業者を支援してきた中での経験則として、地方の中小企業がAI・データ・IoT等を駆使したDXまで一足飛びに至るのは難易度が高い、と思わされることも多くありました。
よってまずは、スモールスタートのデジタル化や、変化し続けられる組織文化や風土づくりに焦らず取り組むことが不可欠だと考えます。

また、目的を明確にしない無闇なITツール導入を避け、業務改善の基本として、日々の業務に潜む「負」(無駄なプロセスや困りごと)を洗い出すことも重視しています。
ITツールはあくまで手段であり、業務そのものを見直した上で、最後の手段であるべきだと考えています。

そのための思考と実践を絶えず行い、その知見を支援に活かすことで、青森県のデジタル社会実現に向けた変革を推進していきます。

DX推進の体制と責任

AOITでは、DX戦略を効果的に進めるための明確な推進体制を整えています。
DX推進責任者として事務局長理事の風晴翔太、最終責任者として理事長の本田政邦が全体を統括し、組織としてDXを推進しています。
こうした体制により、意思決定や戦略実行を円滑かつ着実に進める基盤を構築しています。

「まず自ら実践する」DX文化の醸成

AOITが県内企業に支援する際に大切にしていることは、「支援先に提案する前に、自ら実践する文化」です。

組織内での非効率・非合理な「負」を洗い出して課題の明確化と整理をした上で、業務効率化やコラボレーション向上のため多数のデジタルツールを導入・検証しています。そこで効果検証を経て、支援先へ提案するよう心がけています。これらは副次的に、AOITの業務改善や職員ひとりひとりの生産性向上にも繋がっています。

さらに、コロナ禍が終息した現在においてもリモートワークやハイブリッドワークを継続し、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を取り入れています。
全国的に超採用難の時代ですが、リモートワークの受入体制が可能であれば、全国から優秀な人材を採用できる可能性が高まります。

これらの取り組みにより、スタッフ自身がDXの効果と課題を理解し、現場の知見をもとにした的確なアドバイスを地域の支援先に提供できるようになっています。
好奇心を強く持ち、深く思考して実践してみるという文化が、DX推進の実効力を高める原動力となっているのです。

  • 当法人が掲げるKPI:年間3つ以上の新規ツール試行導入。

 

注力するDX支援プロジェクトとKPI

AOITは青森県内でデジタルの力を活用した様々なプロジェクトを展開しており、特に次の領域に注力しています。

県内事業者へのDX支援

県から委託を受け、青森県DX総合窓口を運営しています。

これは県内中小企業を対象にした無料のDX相談窓口で、専門家チームがデジタル化の相談にワンストップで対応するものです。
2023年5月の開設以来、企業訪問やオンライン対応を含め数多くの相談に応じており、令和6年度には延べ109件の支援実績を上げました。この件数は当初見込んでいた約50件の2倍以上となっており、県内事業者のDXへの高い関心を示しています。
業種も製造業・農業・教育機関・インフラなど多岐にわたり、紙の受発注をデジタル化して業務時間とコストを削減する成功事例も生まれるなど、着実に成果が出ています。

AOITはこうした企業支援を通じて、地域経済のデジタル化・生産性向上に取り組んでいます。

  • 当法人が掲げるKPI:年間100件以上の県内事業者への支援回数。

 

デジタル人材のコミュニティ形成 

AOITは「#交流しようぜ」を軸に、創業以来、IT技術者のセミナーイベントや勉強会を多数開催し、デジタル人材を横断的につなぐ場を提供してきました。

青森は企業数が少なく個々が孤立しやすいため、小規模IT事業者やフリーランスが横のつながりで互助できることが競争力の源泉となり得ます。
業務連携のマッチング、技術力向上の研鑽、情報交換など含め、コミュニティ形成は短期的な財務価値ではなく長期的な意味価値を持つ取り組みです。

当法人はコーディネーターとして場を運営し、小さな個人や組織でも連携すれば大きな仕事に挑める可能性のあるプラットフォームを育てていきます。

  • 当法人が掲げるKPI:年間2回以上のデジタル人材交流会の開催。

 

女性リモートワーカーの育成

出産や子育てを機に離職した女性が再び活躍できる場を増やすため、「奥津軽ママICTワーカーカレッジ(青森県西北地域連携部から受託)」という無料講座を開催し、在宅で働けるデジタルスキルの習得支援を行いました。
コロナ禍を契機に普及した時間や場所にとらわれない働き方であるリモートワークができる女性人材の育成を目指した取り組みであり、コミュニティを通じた質問・相談や受講者同士の交流も重視しています。

青森県は少子高齢化による人手不足が深刻な地域ですが、リモートワーク人材の創出によって育児と仕事の両立を支援し、労働力確保の一助としています。
受託事業として県と連携しつつ、女性がデジタルで輝ける機会を提供する本事業は、DXがもたらす社会的価値の体現でもあります。

また、令和7年度からは類似事業の「#あおリモ(青森で女性リモートワーカーを育成輩出する講座)」を青森県からの受託で実施しています。

  • 当法人が掲げるKPI:年間10名以上の女性リモートワーカー輩出数。

 

教育分野のDX

次世代を担う人材の育成を目的に、学校教育におけるデジタル活用支援にも力を入れています。
たとえば、青森県内の教職員を対象に「デジタルを活用した業務効率化・授業づくりセミナー」を無料で出張開催し、現場の先生方にICT活用のノウハウを提供しています。

GIGAスクール構想により学校にタブレット端末等の設備は整ったものの、「使い方がわからない」「活用アイデアが浮かばない」などの理由で十分に使いこなせていない教員も少なくありません。
そこで現場の声に寄り添いながら具体的な活用事例やアイデアを共有し、授業準備や校務の効率化、さらには子どもたちの学習意欲向上につながるDXを後押ししています。

加えて、児童・生徒や保護者向けのITリテラシー・ネットリスク啓蒙に関する安全教室の開催など、教育現場・家庭双方でデジタル社会を安心して生き抜くための支援活動も展開しています。
これら教育DXへの取り組みにより、青森県の将来を担う人材の育成と学びの質向上に寄与しています。

  • 当法人が掲げるKPI:年間3校以上の出張開催。

 

結びに:地域のロールモデルとして

AOITはこれからも地域に密着したDX推進に取り組み、青森県におけるデジタル実践のロールモデルとなることを目指します。
幸いなことに、私たちの活動には既に多くの共感と支援が寄せられており、それが実行の原動力となっています。

また、本情報は定期的に更新・改善していく予定です。
なぜなら前述したとおり、DXの本質は、変化し続けられる組織文化や風土づくりにあるからです。

複雑で変化の多い時代ですが、今後もミッション・ビジョンの実現に向けて価値提供を継続し、デジタルの力で地域をより豊かに、暮らしやすく変革していきます。

(本戦略の理事会承認日:2025年11月20日)

2025年11月21日
理事長 本田 政邦